日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_1-S11-1
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シンポジウム
[基調講演] 日本の臨床研究の課題
*岩崎 甫
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抄録

我が国の多くの優れた基礎研究を活かした新規な革新的医療技術の創出および臨床現場への提供のためには臨床研究力の強化が必須な条件である。これまでもこの推進のために治験の強化推進策や橋渡し研究拠点や臨床研究中核病院の整備など様々な方策が講じられてきた。しかしながら、最近のSARS-CoV-2感染症に対するワクチンや治療薬の臨床開発では欧米の後塵を拝しており、未だに本邦における臨床研究の実力は十分とは言えない状況であり、特に病院など臨床現場における臨床研究力の強化や臨床試験の更なる活性化・振興は喫緊の課題である。臨床研究・試験の推進には医師・研究者の積極的な参画はもちろんであるが、それに留まらず臨床研究や試験の実施に必要な様々な要素を的確にこなすメンバーによるチームの形成が求められる。中でも臨床試験の被験者に寄り添い医師をサポートして臨床試験の円滑な実施を担当するCRCの役割は大きい。これまで日本臨床薬理学会としてもCRCの認定に努め、現在では約2500名のCRCが認定されている。この状況を活かして、更に試験の企画段階からの関与や試験全体の進捗を管理するなど、より高度な役割を担う臨床研究専門職を設けることは、CRCのキャリアアップを通じて臨床研究力の強化と研究の質の向上に有用な手段となると考えられる。この新たな専門職の要件の設定や認証システムに関しては日本臨床薬理学会が担うことにより、学会活動の振興にも資するものとなり、本邦における臨床研究の強化に本学会としても一定の役割を果たすことに繋がることが期待される。

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© 2021 日本臨床薬理学会
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