主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第42回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 42
開催地: 仙台
開催日: 2021/12/09 - 2021/12/11
特定臨床研究法が施行され、医師主導型臨床試験を実施するハードルは非常に高いものとなった。このことは、我が国における臨床的課題を自発的に解決するための学術的取り組みを停滞させかねない事態を招く可能性を示唆している。しかしながら、我々が取り組む循環器領域を例にみても、治療法の確立やガイドラインの作成等には、観察研究から得られたデータに加え、やはり質の高い介入試験が求められている。さらに、海外の大規模臨床試験で得られた知見に、本邦の実臨床下で得られたデータを融合させることにより、そのエビデンスが持つ臨床的意義や実臨床への応用を統合的に理解することの重要性はいうまでもない。つまり、臨床研究全体でみると、必ずしも大規模臨床研究だけが全ての臨床的意義を示すものではなく、本邦でしばしば実施されてきた小規模ではあるが、大規模臨床試験の結果を補完し、また新たな着眼的を提供しうるサロゲートマーカー等のエンドポイントを用いた臨床試験が持つ意義は極めて大きいと私たちは考えている。特に現在、医師主導型臨床試験の実施には、研究組織全体がもつ''チーム力''が求められている。本邦における臨床研究を今後より良く推進させるには、そうした臨床試験の実施を通じて得られた貴重な経験を広く共有し、その輪を研究者の間で拡げていくことが極めて重要である。少なからず、これまでに経験した医師主導型臨床研究から私たちが感じたことを発表させていただく。