日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_3-P-U-4
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一般演題(ポスター)
アカデミアにおける早期医療開発プラットフォームの構築 診療科での取り組み
*深堀 理青木 雅彦澤田 武志上村 尚人中島 貴子
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抄録

【目的】 医薬品等の早期臨床開発 における産官学連携やステークホルダーの協同による開発エコシステムの構築は、本邦に課せられた喫緊の課題である。その中で、早期臨床開発を担当する専任診療科を設置している医療施設は少ない。今回我々は、自身の取り組みを含め、全国大学病院と国立高度専門医療研究センターにおける専任診療科の実態を調査した。【方法】 臨床研究中核病院14施設、上記を除く大学病院70施設、国立高度専門医療研究センター5施設を対象として、主に治験関連情報の記載のあるホームページをもとに、早期臨床開発に関する情報を抽出した。実施試験内容、早期臨床試験専用病床(Phase1ユニット等)、早期臨床開発専任医師・診療科の有無、その他特色について調査した。【結果・考察】 早期臨床試験専用病床を設置する施設は10施設( 大学病院9施設、研究センター1施設)で、臨床研究中核病院が5施設、非中核病院が5施設であった 。健常人対象の生物学的同等性試験のみを対象とする施設が1施設、健常人対象の生物学的同等性試験とfirst-in-human試験のみを対象とする施設が1施設、疾患対象試験のみを対象とする施設が4施設、いずれの試験も対象としている施設が4施設であった(京都大学医学部付属病院(当院)を含む)。専任診療科(講座)を有する施設は3施設であった。 専任診療科を有さない施設では、対象疾患の当該診療科の医師が試験を実施していた。当院では我々早期医療開発科が専任で担当しており、所属医師は総合内科、腫瘍内科をサブスペシャリティーとしている。健常人対象試験に加え、がんを含む難治性疾患を対象とした臨床試験、さらに自・他大学のアカデミアシーズに関するトランスレーショナルリサーチも行いながら、先進的かつ独創的な早期開発を実施するプラットフォームを構築している。また臨床薬理専門家による恒常的教育、first-in-human試験におけるアドバイスを得るべく、大分大学との連携も構築している。【結論】 早期臨床開発を専任で実施する診療科を設置し、健常人対象・疾患対象いずれの試験も実施している施設は3施設と少なかった。これらの施設と効率的に情報交換、協同しながら、本邦の早期臨床開発における多くの課題を解決し、促進していきたい。

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