日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_3-S42-3
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シンポジウム
ICH-E17にもとずいた臨床現場での国際連携
*友次 直輝飯山 達雄
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抄録

【目的】国立国際医療研究センター(NCGM)では、その特色としていわゆるグローバルヘルスにおける課題に対応するための国際協力を行っており、インターナショナルトライアル部では、臨床試験を通じた対象国へのプロダクト開発、薬事承認およびエビデンス構築を行っている。複数の国で共通の課題がある場合に、国際臨床試験を企画実施するが、途上国における感染症を対象とした臨床試験を計画する際には、各国の各種インフラ、医療水準、保健政策、メディカルニーズの違いがあるが、理想的なMRCTを目指して、直面する現実に即した方法で挑戦し続けている。現在までの国際臨床研究の活動と課題整理、今後に向けた対策と展望について報告する。【方法】2020年以降のコロナ禍においても、当センターインターナショナルトライアル部では、国際臨床研究を現在11試験実施しており、14の将来試験案件を進めている。また、円滑なMRCTを行うための基盤構築に向けてアジアを中心に、ARISE(ARO Alliance for ASEAN & East Asia)という国際的AROアライアンス形成を進めており、海外拠点として、いくつかのサテライトオフィスを設置し、共通SOP、共用EDC、デジタル技術基盤など、緊急的な国際協力スキームなどの整備を進めている。【結果】これまでのMRCTの経験において、(1)当方と対象国における人的リソースの制約、(2)予算の性質上、年度内に解決しなければならないタイムラインが課題であった。(1)については、各国の人材の協力の下、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、コンゴ民主共和国を主要活動国とし、専門家を招聘するとともに、個別プロジェクトの相談・企画・実施支援に必要な専門機能を整備することで対応してきた。(2)については、国際的AROアライアンスであるARISEの形成を通じて、各国にNCGMのサテライトオフィス戦略拠点を構築するとともに、各種手続きの標準化、積極的なデジタル化による強化をおこない、限られた時間の中でも可能となるような効率化をおこなってきた。【結論】先進国も途上国もまさにボーダーレスであり、新時代のグローバルヘルスが必要である。臨床試験もまさに地球規模での展開が必要であり、ARISEを通じて、さらに強靭で効率の良い臨床試験プラットフォームの構築を目指していきたい。

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