主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第43回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 43
開催地: 横浜
開催日: 2022/11/30 - 2022/12/03
無作為化比較試験における臨床試験医師の盲検化のための自動注射器の有効性に関する単一施設での研究
目的:無作為化比較試験(RCT)における臨床試験医師の盲検化を維持するための自動注射器、
注射システム(A-INJ)の実行可能性を評価すること。
背景:盲検化とは、臨床研究に参加する1人または複数の個人からグループ割り当てを隠すことをいう。
皮下および筋肉内に投与される試験薬(IMP)には、臨床試験医師の盲検化を維持するための特有の課題がある。
主に、活性注射剤の粘度と外観(色/半透明度)、プラセボとの比較である。
これらの問題をコントロールする既存の方法は不完全であり、一般的に非盲検の臨床試験医師を使用したり、フィルムや添加物を適用して活性剤とプラセボの注射剤を「一致」させたりしている。
方法:プラセボおよび対照試験薬を1ml投与する際のA-INJ (Owen Mumford, Autoject 2) の性能を従来の注射器 (CS) と比較する単一施設試験が実施された。
注射液の送達率が比較され、臨床試験医師(8名、訓練を受けた研究医)がヒト組織模型へのA-INJによる連続注射後の安全性と有効性の評価を記録した。
結果:全体として、1mlのプラセボ注射液の平均95.4%がA-INJから放出されたのに対して、
1mlの試験薬注射液の平均94%が放出され、投与時間は平均8.5秒であった。臨床試験医師は2つの溶液を区別することができなかった。
CSの懸念とは対照的に、盲検化のリスクに関する懸念は記録されなかった。
結論:無作為化比較試験におけるA-INJの使用可能性を評価する際、
我々は盲検化への顕著なクオリティ向上効果に注目している。
A-INJシステムは、プラセボと活性注射液の両方の投与に有用であり、着色料や粘度添加物によってプラセボに影響を与える必要なく、盲検化を維持することを実証している。
A-INJが発する音、および注射液投与の時間経過が課題となるが、解決策は示唆されている。
我々の結果は、注射剤投与におけるA-INJの利点に関する既存の文献につけ加え、無作為化比較試験におけるA-INJの使用に関する新しい利点を立証するものである。