日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_3-C-O10-4
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一般演題 口演
患者・市民参画(PPI)ワークショップトライアルの検討
*堀江 奈穂渡邊 祐介曹 圭龍豊田 有希菊池 ちひろ佐藤 典宏
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抄録

【目的】患者・市民参画(PPI: patient and public involvement)は1980年代から欧米で始まり、日本においても患者中心(Patient-centricity)の概念と併せ、診療のみならず研究開発の領域にも取り入れられつつある。日本医療研究開発機構(AMED)は、PPIを「医学研究・臨床試験プロセスの一環として、研究者が患者・市民の知見を参考とすること」と定義し、患者・市民参画(PPI)ガイドブック(以下、ガイドブック)を公開し、啓発を行っている。北海道大学病院医療・ヘルスサイエンス研究開発機構(以下、機構)では、2021年に機構職員と学外有識者・一般の立場の方から成るPPIプロジェクトチームを立ち上げ、「臨床研究のプロセスにおいて、患者・市民と研究者等が協働・共創する社会の構築」を目標に取り組みを始めた。患者・市民の立場に近い非医療従事者を対象にワークショップ (以下、WS)を試験的に実施し、参加者評価に基づきWSについて検討を行った。【方法】ガイドブックを参考に「説明同意文書」に対する意見収集をテーマとし、治験・臨床研究に関する基礎知識習得を目標とするレクチャーと、説明同意書を題材に意見交換を行うグループワークで編成される半日型WSを計画した。非医療従事者を中心とした機構職員を対象にWSを2回試行し、選択回答式(ネットプロモータースコア(NPS)形式を含む)および自由回答形式設問からなる参加者アンケートを実施した。結果は全体NPS(第1回;第2回)で記載した。【結果・考察】WSの参加者は計23名(第1回13名、第2回10名)であった。第1回の振り返りとアンケート結果から、レクチャーの重複内容の削除やグループワーク時間の延長を含むWSの変改を行った。アンケート結果の満足度NPSは67%(55%;80%)、推奨度NPSは14%(-9%;20%)で、いずれも第2回に改善を認めた。少数だが「内容が難しかった」という意見も認め、質問や意見を出し易い雰囲気づくり、発言の少ない参加者へ意見を求めるスキル、さらに意見調整や時間管理などの課題も明確となった。【結論】WSの試行経験と参加者からのフィードバックを踏まえ、WSの最適化と実施体制の強化に継続的に取り組んで行きたい。学内外の研究者、研究支援者へのさらなるPPI啓発に加え、実際の患者・市民や学生を対象としたWSの実施へと活動を発展させたい。

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© 2022 日本臨床薬理学会
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