日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-O04-3
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一般演題(口演)
多施設共同臨床研究において多職種で取り組んだ品質管理活動~データマネージャーの視点より~
*芝 円山原 有子清水 瞳岡田 亜弓坂井 あゆみ石田 裕紀山崎 純子喜多 裕筧 康正槇本 博雄小西 明英真田 昌爾
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抄録

【目的】

臨床研究の実施には、法令や研究計画書等様々なルールに従って実施する必要があり、それらの要求水準を満たす品質管理が求められる。しかしながら、企業治験等を除く臨床研究では限られたリソースでの実施となるため、支援職種の関与があるにもかかわらず、研究者に負荷が集中することにより、不適合等の問題が多発する事例もあった。

当院臨床研究推進センターが支援する特定臨床研究において、研究費やマンパワー等のリソースに制限がある中、より適切に臨床研究の品質管理を実施するため、データマネジメント担当者(DM)がモニタリング担当者(CRA)、スタディマネージャー(StM)と協働して品質管理のために新たな取り組みを行った。特にResearch Electronic Data Capture(REDCap)の設計や運用等に関することを中心に報告する。

【方法】

研究開始前にStMと臨床研究コーディネーターの経験があるCRAへREDCap画面のレビューを依頼した。レビューコメントについて検討し、同意取得のプロセス確認に関連する入力項目、逸脱等を知らせるアラート、必要書類がダウンロードできる設定等をREDCapへ追加した。研究開始後もCRA、StMと品質管理について継続的に検討を行う中で、同意説明文書改訂に伴う再同意のプロセスや進捗の確認をどのように行うかが議題に上がり、REDCapで管理できるよう再同意に関する入力項目を追加した。

【結果・考察】

通常DMのみでREDCapを設計する場合は、統計解析に使用する最低限の必須データを収集しており、登録票においても速やかな症例登録を優先し必要最低限の情報のみ収集していることが多い。アラートについては他試験でも共通する内容のものを一律に設定しているが、試験特有のアラートはそれほど積極的に追加していない。

今回、CRA、StMと共に検討した結果、重要なプロセスを管理するための項目の追加や通常より多くのアラート等をREDCapに取り入れることとなった。それにより、REDCapへ入力した場合、必要なアラート等が画面に表示されることで入力者はタイムリーにその情報に気付くことができ、DMはREDCapの入力情報から、同意取得に関する情報を確認し、CRAと密に連携することで品質を確保することが可能になると考えた。

【結論】

多職種が協働し多角的な視点を取り入れて臨床研究の品質確保に取り組むことで、品質の向上が図られる事例を経験した。我々は今後も品質確保に向けた取り組みを継続する。

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