日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_1-C-S03-2
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シンポジウム
膠原病疾患(全身性エリテマトーデス:SLE)を対象としたPRO研究
*矢嶋 宣幸
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抄録

膠原病疾患は、比較的若い年齢にて罹患し、長期に疾患に向き合わねばならない。今回対象としたSLEは全身の炎症疾患であり,皮膚、関節、血球、腎臓を主な臓器障害とした慢性炎症性疾患である。高い再燃率、および、長期間にわたりステロイドや免疫抑制剤投与による感染症、骨粗鬆症などの副作用、が問題とされている。患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome: PRO)は患者の視点から評価をしたものであり、連続的な症状の変化が可能である。今回、連続的なPROをスマートフォンアプリを利用して取得し、継続率や症状の推移に計測した。今回、5施設(昭和大学病院 / 京都府立医科大学附属病院 / 岡山大学病院 / 東京共済病院 / 長崎大学病院)から200名のSLE患者を対象とした。計測に先立ち、SLE患者用のPROCTCAEを開発した。候補項目を、既存の疾患分類基準、疾患特異的QOL指標から抽出し、パネル会議を経て54項目(規定項目42項目、追加項目12項目)をSLE版PROCTCAEとした。そのPROCTCAEを2週間ごと3ヶ月間の連続でデータ収集を行った。我が国の膠原病領域のPRO-CTCAE評価を含むePROはまだ我が国ではまだまだ重要視されていないため、本研究が活性化につながる可能性がある。医療者が普段意識していなかった症状に気づく可能性があるなど、通常診療への利活用も将来的に考えられる。

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