日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第44回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 44_2-C-P-E2
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一般演題(ポスター)
共通テンプレートに準じた同意説明文書ひな型に関するアンケート調査と業務軽減効果
*田嶋 恭典渡邉 享平寺澤 優子山本 大柿原 恵谷内田 有梨菜白波瀬 抄子坂下 雅文上谷 幸男塚本 仁後藤 伸之
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抄録

【目的】

働き方改革により病院全体で勤務時間の効率化が求められており、CRCにおいても例外ではない。我々は、これまでに実労働時間を指標とした実態評価法によるCRC業務の可視化を行い、業務効率化に努めてきた。今般、R&D Head Clubより同意説明文書(ICF)共通テンプレートが公開されたことから、当院では共通テンプレートを参考にICFひな型(改良型)を導入した。今回、改良型の有用性を評価することを目的としてアンケート調査およびこれまでの依頼者独自のICF(従来型)と改良型の作成に要した時間の比較を行った。

【方法】

アンケート調査は2023年7月にCRC(院内・SMO)、CRAを対象とし、主に「簡潔な説明と伝えるべき内容の両立」、「作成業務の効率化」、「問い合わせ・確認依頼件数」、「ひな型の必要性」について質問した。

また、ICF作成時間の比較については改良型導入前後の4か月間を対象として院内-CRCがICF作成に費やした実労働時間を調査した。

【結果】

アンケートは院内-CRC5名、SMO-CRC1名、CRA4名(計10名)より回答を得た。その結果、全員が改良型を導入することで簡潔な説明と伝えるべき内容の両立ができている、ひな型の利用を促進した方が良いのと回答であった。作成業務の効率化については、9割(9名)が改善したと回答したが、1名が変化なしとの回答であった。協働作業の問い合わせや確認依頼の件数については、7割(7名)が減少したと回答したが、残りの3割(3名)は変化なしであった。

また、ICF作成時間については、従来型では治験1件あたり約8時間要していたが、改良型では5時間と大幅に短縮した。

【考察】

アンケート結果より、職種や経験年数を問わず改良型を導入することで、作成業務の効率化が得られている傾向が示唆された。中でも、治験一般部分の記載内容に対する修正依頼や問い合わせ件数が減少したとの意見が多く、各治験の申請資料の内容確認等の作業の充実につながっていると考えられる。また、実労働時間においても改良型を導入することで、ICF作成時間が短縮しており、CRCの業務軽減に貢献しているものと推測される。

現状、製薬企業では共通テンプレートを使用せずに従来型で対応していることが多く、従来型を改良型へ移し替える作業が発生する。今後、製薬企業内で共通テンプレートの使用が拡大することがあれば、より一層効率化が図れる可能性がある。

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