主催: 日本臨床薬理学会
質の高い臨床研究を実施するためには、本来研究技能と車の両輪となるべき研究公正や研究倫理に関する技能やセンスが必要であるが、それらの学修機会や関心は限定的である。例えば、臨床研究を実施している非大学病院勤務医は、研究公正や研究倫理に関する学修機会は大学病院勤務医よりも少なく、研究公正に関する意識が低いこと、また学修機会が受動的であることは不適切な研究活動に関連することが報告されている(BMJ Open 2021)。研究公正や研究倫理への学修モチベーションが必ずしも高くない臨床研究者に、いかに研究公正や研究倫理に関する学修のモチベーションを上げ、実践的な技能や研究公正に関するセンスを身につけてもらえるかが、今後のわが国における臨床研究の発展にとって重要な課題である。
本ワークショップでは、AMED研究公正高度化モデル開発支援事業で開発中のモジュール型学修システムを利用して、臨床研究技能の学修と研究公正や研究倫理に関する実践的な対応をセットでシミュレーションしようとするものである。各モジュールは、多くの臨床研究者が自発的に学修したい臨床研究デザインや統計学に関する短い動画講義とそれに関連した症例提示と討議から成り立っている。その討議の中で研究公正や研究倫理に関する事項を取り扱うことで、研究公正や研究倫理について、内発的な学修を促すものである。将来的にはe-learningの構築を目指していることから、各モジュールは短いものとなっているが、複数のモジュールを学修することで、幅広い学修に繋がるように計画されている。
最終的には、AMED事業として、学会や病院が自由に利用できる研究技能と研究公正の教育カリキュラムに展開したいと考えている。