日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第45回日本臨床薬理学会学術総会
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一般演題(ポスター)
患者背景因子の群間バランスに対する統計的考察:p値の誤用による落とし穴
上野 航太郎, 魚住 龍史
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p. 104-

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抄録

【目的】 本研究では,患者背景因子の群間バランスの評価について議論する.ランダム化臨床試験では,患者背景因子の要約として,要約統計量で記述するのみで,群間バランスの評価は不要である.一方,観察研究では,患者背景因子の群間バランスを評価する必要があり,標準化平均差(standardized mean difference, SMD)がよく使われる.特に近年の観察研究では傾向スコアマッチングが用いられることが多く,マッチング前後の群間バランスの評価としてSMDを報告することが望ましいといえる.しかし,SMDでなくp値で群間バランスの評価を実施している研究が散見される.患者背景因子の群間バランスの評価指標として,p値を用いることが誤用であることはよく知られている.本発表では,モンテカルロシミュレーションによる定量的な評価結果をもとに,患者背景因子の群間バランスの評価指標として,SMDとp値をそれぞれ用いた場合に生じる落とし穴について議論する. 【方法】 2群の観察研究として,群間バランスが取れているシナリオとバランスが取れていないシナリオを想定する.各群の症例数を設定し,患者背景因子として連続変数は正規分布,2値変数は2項分布を仮定し,それぞれの確率分布に従う乱数によるシミュレーションを行う.SMDとp値を算出し,それぞれの閾値からシナリオごとに適切に群間バランスの評価が実施できたかどうか判断する. 【結果・考察】 各群の症例数が700~800の場合には,SMDとp値のいずれを用いても,群間バランスの評価に大きな違いは見られなかった.各群の症例数が800以上の場合には,SMDでは群間バランスが正しく評価できる一方,p値では誤った評価をしてしまう割合が高くなる傾向にあった.各群の症例数が700以下の場合には,p値では群間バランスがとれていないときに間違った判断をする傾向にあった.ただし,SMDを用いた場合でも,群間バランスがとれているときにもかかわらず,間違った判断をしてしまう可能性があることが示唆された.特に,各群の症例数が100以下の場合にはこの傾向が顕著に見られた. 【結論】 各群の症例数が800以上の場合と700以下の場合には,p値が誤用である傾向が顕著であった.ただし,各群の症例数が700以下の場合はSMDを用いても間違った判断をする可能性があり,SMDを用いる場合であっても値の解釈に注意が必要であることが示唆された.

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