主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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【目的】Dihydropyrimidinase(DHPase)は、DPYS遺伝子によってコードされ、抗がん剤5-フルオロウラシル(5-FU)の解毒代謝反応を触媒する酵素の一つである。特定のDPYS遺伝子多型を有する患者では5-FUによる重篤な副作用発現が認められたことから、同酵素の遺伝子多型は5-FUの副作用予測バイオマーカーとして有望である。しかし、DPYS遺伝子多型に由来するDHPaseバリアントの酵素活性の変化についての詳細な理解が不足している。そこで、本研究では日本人38,722人の全ゲノム解析よって同定された45種のDPYS非同義置換について組換えDHPaseを作製し、酵素活性の変化を解析した。【方法】各塩基置換を導入した発現ベクターを作製し、293FT細胞にトランスフェクションすることで、野生型DHPaseと45種類のバリアントを一過性に発現させた。次に、遠心分離法により調製したS9画分に基質であるフルオロジヒドロウラシルを様々な濃度で反応させ、LC-MS/MSにより代謝物生成量を定量した。また、多量体形成能をBlue native PAGE-イムノブロット法により解析した。バリアント酵素の安定性はシクロヘキシミド処理後の発現量で評価した。【結果・考察】45種類のDHPaseバリアントのうち、18種類のバリアントにおいて酵素活性が消失し、3種類で有意な活性低下が認められた。特に、多量体形成バンドが見られなかったバリアントでは酵素活性が完全に失われた。また、酵素活性の低下したバリアントのうち、11種類で酵素タンパク質の安定性が減少していることが示された。【結論】本研究では、日本人集団における45種類のDHPaseバリアントの酵素活性の変化を明らかにし、新たに21種類の遺伝子多型が酵素活性に影響を及ぼすことが示された。これらの結果は、患者個々の遺伝子情報を利用して、5-FU系抗がん剤の副作用発現を予測する個別化薬物療法への応用が期待される。