主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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【目的】2023年11月、心房細動治療薬である経口抗凝固薬に対して、急性腎障害(AKI)が重大な副作用として追加された。一般にAKIは、慢性腎臓病(CKD)患者において発症しやすいこと、CKDの重症度が高いほどAKIの発現リスクが高まることが知られている。そこで本研究では、CKD患者における抗凝固薬の使用頻度を明らかにするとともに、AKI発症のリスクについて医療ビッグデータを用いて検討した。 【方法】医療ビッグデータは、株式会社JMDCより提供された病院診療情報320万人のうち、入院経験があり、入院±2日以内にS-Creの測定が行われた成人患者78,907名を解析対象とした。CKD患者の重症度は、GFR区分により分類し、それぞれ非CKD患者であるG1(90 mL/min/1.73m2以上)から重篤なCKD患者であるG4/5(30 mL/min/1.73m2未満)まで、4カテゴリに分類した。CKD患者における抗凝固薬の使用頻度は年齢、性別、暦年で標準化した1,000名あたりのPrevalence rate(PR)により評価した。加えて、CKDのG1の患者の抗凝固薬のPRを基準として、G2~G4/5のPrevalence Rate Ratio(PRR)を算出した。AKIの発症に関しては、CKDのGFR区分ごとにAKIの発症をポワソン回帰分析により年齢、性別、暦年で調整したリスク比(95%信頼区画)により評価した。 【結果】対象患者は、65歳以上が63%、男性が50%を占めていた。CKDのG3は10.4%、G4/5は7.8%を占めていた。抗凝固薬のPRは、G3が最も高く170.7/1,000 patientsであり、G1が最も低かった(33.8/1,000 patients)。AKI発症のリスク比は、すべてのGFR区分で抗凝固薬投与患者において高く、特にG2の患者群においてAKI発症の調整済みリスク比が高かった(1.9 [1.4-2.6], p<0.001)。 【考察】本研究では、AKIのリスクとなる抗凝固薬の使用頻度およびAKI発症のリスクを腎機能ごとに評価した。その結果、非CKD患者とCKD患者いずれにおいても抗凝固薬投与後のAKI発症のリスクが高まることを明らかにした。以上、抗凝固薬投与後のAKI発症のリスクは、CKDの有無にかかわらず十分な注意が必要となる可能性を明らかにした。