主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第45回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: さいたま市
開催日: 2024/12/13 - 2024/12/14
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【目的】広島大学病院(当院)リウマチ・膠原病科では2017年より生物学的製剤(バイオ)導入入院を実施しており,自己注射手技の確立や患者教育を目的として医師・看護師・薬剤師が連携している。外来などの職種間連携が乏しい状況でのバイオ自己注射の継続状況は不明である。本研究ではバイオ導入後の自己注射継続状況や,中止・変更の要因を明らかにすることを目的とした。 【方法】2017年4月~2023年3月に当院リウマチ・膠原病科に入院し,バイオ導入指導を行った患者を対象とし,1年後の継続及び中止・変更の要因を後方視的に調査した。また,対象期間を2017-19年度,2020-22年度に分けて比較し,近年における中止・変更理由の変化の解析も行った。統計解析としてFisherの正確確率検定を用いた。 【結果】バイオ導入した174例中171例が自己注射可能と判定され,1年後の評価ができた153例を解析の対象とした。1年後の中止・変更率は29%(45/153例)であった(中止26例,効果不十分による薬剤変更19例)。中止理由は,治療方針の見直し11例,副作用7例,患者希望8例であった。患者希望の内訳は経済的理由2例,治療拒否1例,手技困難1例,デバイス変更4例であった。また,薬剤分類ではTNF阻害薬が35%(54/153例)と最も多く,1年以内に17%(9/54例)が効果不十分により薬剤変更されていた。副作用中止率はCTLA4-Ig 7%(2/29例)やIL-6阻害薬6%(3/48例)で多かった。 近年の傾向として,導入したデバイスは「2017-19年度」→「2020-22年度」,それぞれシリンジ型18例→1例,自動注入型70例→64例(ボタン式56例→33例,ボタンレス式14例→31例)であり,「2020-22年度」で有意にシリンジ型は減少し,自動注入型が増えた(p<0.01)。また,デバイス変更4例はシリンジから自動注入型への変更であり,全例「2017-19年度」であった。 【考察】手技による中止は1例と少なく,入院指導は手技獲得及びアドヒアランス維持への有効性が考えられる。2020年以降で手技による中止及びデバイス変更例がない理由は自動注入型デバイスの普及と推測される。TNF阻害薬は効果不十分による変更例が多く,CTLA4-IgやIL-6阻害薬は副作用中止例が多いことから,導入後の効果及び副作用や問題点・到達度を定期的に確認する必要性が示唆された。 【結論】入院指導患者において自己注射手技による中止例は少なく,入院指導はバイオ製剤継続に有用であると示唆された。