主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
p. 35-
本講演では、現在前立腺肥大症(BPH)に対する保険適用を有している6種のα1遮断薬(タムスロシン、ナフトピジル、シロドシン、テラゾシン、ウラピジル、プラゾシン)について、臨床薬理学の視点から作用機序、薬物動態の相違、副作用プロファイルおよび薬効の個人差要因を概説する。α1遮断薬は、前立腺と膀胱頚部の平滑筋収縮に関係するα1アドレナリン受容体を遮断して前立腺による膀胱出口部閉塞の機能的要素を減少させ、BPHによる排尿障害を軽減させる。α1受容体は、α1A、α1B、α1Dのサブタイプに分類され、α1Bは主に血管平滑筋に、α1Aおよびα1Dは主に前立腺に発現しており、副作用(起立性低血圧、射精障害など)の発現には薬物ごとの受容体サブタイプ選択性が関与する。薬効の個人差については背景にある遺伝的要因(CYPの多型による薬物代謝能の差)および肝・腎機能障害に着目して薬効と副作用に与える影響を説明し、実臨床で遭遇する高齢者や併用薬の多い患者における留意点を述べる。BPHに対するα1遮断薬の併用療法(+抗コリン薬、β3作動薬、PDE5阻害薬、または5α還元酵素阻害薬)に関する最近のエビデンスも概説する。以上を踏まえ、BPH患者個々のリスク因子と症状特性に応じたα1遮断薬の使い分けについて、臨床薬理学的エビデンスに基づいて考察する。