主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
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特異体質性薬物性肝障害は死亡例が認められる重篤な副作用である。その詳細な発症機序については未だ不明な点が多く、具体的な予測・予防・治療法が存在しない。我々は、薬物あるいは薬物代謝による反応性代謝物が細胞ストレスとなり、damage associated molecular patterns(DAMPs)が放出され、抗原提示細胞(antigen presenting cell, APC)を活性化するのではないかと考え検討を行っている。一例として、未分化リンパ腫キナーゼチロシンキナーゼ阻害薬であるブリガチニブは、ミエロペルオキシダーゼによって反応性代謝物となりインフラマソームを活性化すること、さらにCYPによって反応性代謝物となり、細胞内活性酸素種が増加することでDAMPsであるHSP90およびS100A6が放出されることによってもインフラマソーム反応を活性化することを明らかにしている。このように、反応性代謝物が原因となることで、免疫の活性化が起こりその結果、特異体質性薬物性肝障害が発症することが示唆された。 一方、このような機序で肝障害が起こるのであれば、投与されたヒトすべてに肝障害が起こることが考えられるが、実際には発症しない。我々は、もう一つの発症原因として、免疫寛容に着目している。反応性代謝物で免疫が活性化したとしても、免疫寛容によって免疫の活性化が抑制されるため、通常は発症しないのではないかという仮説である。そこで、PD-1ノックアウトマウスに抗CTLA抗体を投与した免疫寛容を解除したマウスを用いて、APCのインフラマソーム反応を活性化することが確認された薬物投与を行ってみると、通常は発症しない肝障害が、全例で発症することが確認された。ネビラピンを投与した際には、投与後、血中ALT値は3週間後より有意な増加が認められ、遅発性の肝障害の発症が確認されている。以上のことから、特異体質性薬物性肝障害の発症には、免疫寛容も大きくかかわっていることが考えられる。 本シンポジウムでは、特異体質性薬物性肝障害の発症機序について、これまでに我々が行ってきた薬物あるいは反応性代謝物を中心に免疫の活性化についての検討結果を紹介する。また、抗CTLA抗体投与でのPD-1ノックアウトマウスでの検討結果も紹介し、in vitroおよびin vivoからの検討結果を踏まえて、特異体質性薬物性肝障害の発症機序について考えたい。