主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
p. 83-
信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターでは、2012年から次世代シークエンサー(NGS)を用いた遺伝性結合組織疾患の遺伝子解析研究に取り組んできた。2017年から、これを臨床に還元するべく、院内での遺伝学的検査を開始し、翌年には他の循環器疾患にも幅を広げた。同センターの臨床遺伝専門医により電子カルテから遺伝学的検査の指示が出されると、それに基づき中央採血室において採血が行われる。採血管には氏名、電子カルテID、遺伝学的検査のオーダー番号のバーコードが貼付される。遺伝学的検査のオーダー番号は、バーコードスキャンにより読み取られ、専用機器により特定桁数の英数字に書き替えられるとともに、各種形状の二次元コードシールとなり、DNA抽出・濃度測定・保管、残血液保管、検査、検証会議における一貫した管理に役立てられる。NGSパネル解析で検出された報告対象のバリアントが塩基置換・小さな挿入欠失である場合にはサンガーシークエンスで確認され、エクソン単位の欠失重複である場合にはMLPAあるいはデジタルPCRで確認される。検証会議を経て報告書が作成され、電子カルテに返却される。遺伝学的検査のオーダー番号に紐づいて自動的に電子カルテの依頼元に返却される仕様となっており、依頼から報告書管理までをシームレスに行えるシステムとなっている。解析対象遺伝子の選定は、基本的にClinGen Gene Curation Working Groupにより判断されたGene-Disease Validityに基づき行われる。バリアントの評価は、HGMD Professional、ClinVarにおける登録論文の有無と内容の調査、およびACMG/AMPガイドライン2015および ClinGen Sequence Variant Interpretation Working Groupの推奨事項(いくつかの循環器疾患・遺伝子では専用のガイドライン)に従い行われる。病的意義不明のバリアント検証のためのmRNA解析や両親解析、両アレル性確認のための両親解析は無償で提供される。また、病院間契約を通して、検査会社の検体搬送・DNA抽出サービスを活用した検査受託も行っている(全37施設)。2023年には、全国展開を見据え、本システムを用いた遺伝性結合組織疾患の遺伝学的検査を検査会社に導出した。今後、他の循環器疾患についても移行拡大していく予定である。