日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第46回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
2型糖尿病におけるインクレチン関連薬の最前線―血糖変動と酸化ストレスの視点から―
小原 信山岸 昌一
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p. 99-

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抄録

2型糖尿病(T2DM)の薬物療法はこの10数年で大きく進歩し、血糖管理のみならず心血管・腎保護を含む包括的戦略へと進化している。その中で血糖変動は酸化ストレスを介して血管合併症の進展に関与することが知られ、HbA1cに加え血糖変動の制御の重要性が注目されている。我々はこれまで血糖変動と酸化ストレスの関連を臨床的に検討し、血糖変動が酸化ストレスの独立した規定因子であることを報告してきた。これらの知見は、薬物療法における血糖変動の是正の意義を裏付けるものである。 近年、インクレチン関連薬の発展は著しく、治療戦略に新たな可能性をもたらしている。DPP-4阻害薬は日本で広く使用され、安全性に優れる薬剤であり、TECOS試験をはじめとする大規模心血管アウトカム試験において心血管への安全性は確認されているものの、心血管イベント抑制効果は限定的であることが報告されている。一方で、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は強力な血糖降下作用と体重減少効果を有していることに加えて、SUSTAIN-6試験やREWIND試験などの大規模臨床試験において主要心血管イベント(MACE)を有意に抑制すること、FLOW試験において腎イベント抑制効果が証明されている。これらの結果を踏まえ、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスクが高い患者や慢性腎臓病(CKD)を合併する2型糖尿病患者に対してGLP-1RAの使用が推奨されている。 我々はDPP-4阻害薬およびGLP-1RAにおける1日1回投与製剤と週1回投与製剤を比較し、GLP-1RAでは週1回投与製剤が血糖変動および糖尿病治療満足度に優れることを明らかにした。さらにGLP-1RAの週1回投与製剤であるセマグルチドとデュラグルチドを比較し、セマグルチドが血糖変動および酸化ストレス改善において優れていることを示した。経口GLP-1RAとDPP-4阻害薬の比較では、経口GLP-1RAが血糖変動および酸化ストレス改善において有用であることを確認した。最近登場したGIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)は、GLP-1RA以上に強力なHbA1c低下と体重減少効果を示すとともに、心血管アウトカム試験(SURPASS-CVOT)においてデュラグルチドに対して心血管アウトカムにおいて非劣性が確認されている。 本シンポジウムでは、DPP-4阻害薬、1日1回投与製剤および週1回投与製剤のGLP-1RA、経口GLP-1RA、さらにGIP/GLP-1RAを対象とした我々の臨床研究を中心に、大規模臨床試験の結果も交えて、その臨床的意義について概説する。

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