日本では、未成年者に対する情報モラル教育が、政府やNPOにより無償提供されることが一般的である。しかし、政府やNPOに便益の定量的把握は困難であり、社会的に最適な資源配分が行われていない可能性がある。そこで本研究では、情報モラル教育に対し、私的便益への対価として社会が負担できる金額を分析した。具体的には、中高生の保護者に着目し、追加的な情報モラル教育に対する支払意思額(WTP)の推計とその金額に影響を与える要因の分析を行った。分析の結果、概論的な「情報モラル教育」に対する保護者の平均的なWTPは負となることが判明した。また、WTPに影響を与える要因も複数判明し、教育施策の具体性や中高生のネットリスクに対する保護者のリテラシーの高さがWTPに正の影響を与えることが示唆された。たとえば、具体的なシステムである「誘い出し防止アプリ」に対する保護者の平均的なWTPは正であり、中高生のネットリスクの認知度の高い保護者に限定すれば、概論的な「情報モラル教育」でも平均的なWTPは正となる。本研究は、政府による情報モラル教育の最適供給量・消費量の決定や、社会が負担できる金額の引き上げに貢献するものである。