抄録
目的:精神科看護師を対象に感情労働と基本的コミュニケーションスキル,援助的コミュニケーションスキルとしての共感の関連を検討することを目的とした.
方法:看護師の感情労働測定尺度(ELIN),コミュニケーションスキル尺度ENDCOREs,多次元共感性尺度(MES)を使用して質問紙調査を実施した.各尺度の因子分析を実施し,因子構造を確認した.各下位尺度間の関連を検証するために,共分散構造分析を実施した.共分散構造分析は,ENDCOREsとMESを独立変数,ELINを従属変数とし,ENDCOREsをMESの媒介変数として設定した.
結果:共分散構造分析の結果,ENDCOREsはELINに有意な正の直接効果を示した.MESの「視点取得」はELINの「探索的理解」,「表出抑制」,「ケアの表現」に有意な正の直接効果を示した.「被影響性」はENDCOREsに有意な正の直接効果を示し,ELINに有意な負の直接効果を示した.「自己指向的反応」と「自己信念」は,ENDCOREsに有意な負の直接効果を示し,ELINに有意な正の直接効果を示した.「他者指向的反応」は,ENDCOREsの「他者受容」と「解読力」に有意な正の直接効果を示し,ELINの「表出抑制」に有意な負の直接効果を示した.
結論:感情労働の遂行には,コミュニケーションスキル向上を図るプログラムの開発が肝要であることが示唆された.