抄録
目的:本研究では,個人の電子機器を使用して病棟マニュアルを閲覧できる方法を導入した上で,閲覧回数を測定,比較した.さらに同時期に発生したインシデントレポート数についても検証することで有用性を検討することを目的とした.
対象と方法:対象は病棟マニュアルを使用する看護師70名とした.電子マニュアルをweb化するのみの対照
期,病棟マニュアルに沿った業務の遵守を指示する指示期,個人の電子機器で病棟マニュアルを閲覧可能にする機器使用期の3つの条件を設定し,それぞれの時期の総閲覧回数とインシデントレポート数を集計し統計学的手法を用いて分析した.
結果:各条件の1日ごとの病棟マニュアル閲覧回数の中央値(四分位偏差)は,対照期2(0.75),指示期1.5(1.13),機器使用期3.5(1.63)であり,対照期,指示期に比べ機器使用期の閲覧回数が有意に多かった(p<0.05).また,各条件の1日ごとのインシデントレポート数の中央値(四分位偏差)は,対照期2(1.25),指示期0.5(1),機器使用期1(2)であり,対照期に比べ指示期のインシデントレポート数が有意に少なかった(p=0.02).
結論:アクセシビリティを向上することで,病棟マニュアルの閲覧回数を増加させることができ,インシデントレポート数は,繰り返し行われる病棟マニュアルに沿った業務の遵守の指示によって減少することが示唆された.