2019 年 14 巻 1 号 p. 23-28
本研究の目的は,全国の訪問看護師を対象に,摘便を安全に行うために必要な手技の実施状況と,その手技を実施しないと生ずる可能性がある有害事象に関する知識との関連を明らかにすることである.手技と知識の関連についてはχ二乗検定を実施した.
結果,訪問看護師は,摘便を安全に行うために必要な手技を高い割合で実施しており,その手技を実施しないと生ずる可能性がある有害事象に関する知識も有していた.また,摘便の実施には医師の指示よりも自らの判断を重要視していた.実施率が最も低かった項目は,「キシロカインショックを防ぐため,指にはキシロカイン以外の潤滑剤を塗り行う」の87.6%であった.一方,全ての項目で手技と知識に有意な関連は見られなかった.以上から,摘便を安全に行うために必要な手技の実施率を高めるための方略として,キシロカインに変わる潤滑剤を準備し,使用しない環境を整える必要性が示唆された