抄録
群馬大学医学部附属病院の医療事故問題において,診療録に残された説明同意文書の内容が非常に乏しかったことは大きな問題であった.医療行為に際しては,患者に説明し記録に残すべき内容として求められるものがある.何を説明し記録に残すべきかを医療者にわかりやすく示し,必要な項目を含めた書式が確実に院内全体で使用できるよう,2014年10月より統一書式の説明文書承認体制を構築した.手術を中心として,1年後には480件,2年後675件,3年経過した2017年9月末現在で765件の文書を作成した.侵襲的医療行為に加え,化学療法や疾患の説明文書などについても作成が進んだ.さらに内容のブラッシュアップや患者に対してわかりやすさなどを問うアンケート調査を行っている.また,文書は他施設にも提供している.患者が十分な理解の上で自身の治療方針を決定するために,必要な情報をよりわかりやすく提供できるよう,さらなる課題に取り組む必要がある.