抄録
「医療の質・安全の観点から見た業務体制と業務環境の在り方ワーキンググループ(WG)」では,2013年度より医療が安全に行われるための労働環境について検討している.2018年度は2017年3月28日にまとめられた「働き方改革実行計画」に基づき2018年6月29日に可決した「働き方改革関連法案」を受けて,長らく社会問題化している医師の長時間連続勤務を中心とする,医療機関及び医療従事者(「以下,医療機関等」とする)全体の働き方改革をどのように推し進めていったらよいのか,それを探るヒントとして,2014年度から3年間に労働基準監督署が日本全国の都道府県立病院を立ち入り調査した際に出した是正勧告書及び指導票,そして勧告対象となった都道府県立病院がどのような是正報告書を提出したのかを47都道府県に情報開示請求をし,労働基準法の条項ごとに違反件数・内容を整理し,分析をおこなった.また同じくして,是正勧告に対する是正報告,改善指導に対する改善報告の内容も整理,分析した.
そこで第13回医療の質・安全学会では,医療機関等の働き方改革を推進するために,整理,分析された内容を通して,今回,関連法の中でも約70年ぶりに大改正した労働基準法の観点から,医療機関が抱える「課題」と「対策」のヒントを探り,働き方改革を滞りなく進めていく方法を医師・薬剤師・看護師そして社会保険労務士で議論した.
本稿は第13回医療の質・安全学会学術集会ワーキンググループ企画3で発表した内容を収録したものである.