バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
傾いた障害物を跨いで越える際の歩容に関する研究
小林 吉之嶺也 守寛藤本 浩志
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2006 年 30 巻 2 号 p. 85-92

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抄録
水平ではない障害物が跨ぎ越え動作に与える影響を評価するため,若年成人被験者に高さの異なる水平な障害物と角度の異なる前額面上で傾いた障害物を跨いで越えさせ,その際の歩容を3次元動態計測装置VICON-512を用いて計測した.計測したデータより外側及び内側MP関節に貼付したマーカから障害物までの距離をそれぞれ外側つま先クリアランス,内側つま先クリアランスと定義し,水平な障害物及び前額面上で傾いた障害物間で比較を行った.その結果,高さの異なる水平な障害物間では外側内側共につま先クリアランスに有意な差が認められなかった.一方前額面上で傾いた障害物を跨いで越えた際には外側つま先クリアランスが有意に減少した.これらのことからヒトが前額面上で傾いた障害物を跨いで越える際には,水平な障害物を跨いで越えるときほど余裕を持ってつま先を持ち上げておらず,障害物につまずく可能性が増加していることが示唆された.
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© 2006 バイオメカニズム学会
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