2019 年 14 巻 2 号 p. 197-201
中心静脈カテーテルの挿入・管理は,医療安全の重要課題である.海外では血管確保のためのチームvascular access team(VAT)が,医療安全に重要な役割を果たしている.本稿はVATの概要を解説し,本邦でのVATの導入について議論を試みた.
VATの有用性のエビデンスは明らかではないが,合併症の低下や患者サービスの向上などが報告されている.本邦でのVATの導入は,働き方改革や医療の質の向上の解決策の一つになる可能性がある.VATの導入において,人材と教育が問題点となる.人材問題では,海外のVATを参考に,施設にあった多様な形態のVATを参考にすることができるだろう.教育問題は,Web-learningによるシミュレーション教育が,細い血管確保という高度な技術の習得において有用であると考える.
以上の問題を解決し,本邦でもVATを作ることで,医療の質の向上に貢献することが期待される.