医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
Print ISSN : 1881-3658
ISSN-L : 1881-3658
原著
TeamSTEPPS®の「チェックバック」遵守率向上を目指した介入の効果
−看護師間における行動分析学的教育プログラムの有効性の検証−
住友 順子飛田 伊都子魚住 真生辰巳 陽一小川 正子中山 昌美
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2021 年 16 巻 3 号 p. 312-321

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抄録

目的:チームトレーニングプログラムであるTeamSTEPPSRのツールであるチェックバックの遵守率を向上させるために行動分析学的な介入プログラムを考案し,その有効性を評価することを目的とした. デザインと対象:ランダム化比較デザインを採用し,実験群にはbaseline,介入,follow-upで構成する実験計画を用いた.A大学病院の1つの病棟を対象病棟とし,主任を除く全看護師21名の中から無作為に抽出した12名を対象者とし,実験群と対照群の2群に分けた. 介入:実験群には介入プログラムを実施し,介入プログラムはbaseline,phase 1,phase 2,phase 3,follow-upの5期で構成した.phase 1では,不完全なチェックバックによる事故事例と正しいチェックバック方法について言語的に教示した.phase 2 では,チェックバック遵守率増減についての言語的フィードバックを行い,phase 3 では,チェックバック遵守率のスコアフィードバックを行った.baselineとfollow-upは無介入とし,対照群には無介入を継続した. 結果:対照群のチェックバック平均遵守率は,3.2%から24.3%で推移したが,実験群は,baselineでは0.0%から38.5%,phase 1では42.8%から57.6%,phase 2では47.7%から69.1%,phase 3では77.6%から95.0%,follow-upでは80.8%から87.9%で推移した. 結論:実験群のチェックバックの平均遵守率が対照群に比べ高率を示したことから,チェックバックの遵守率を向上させることを目指した行動分析学的な介入プログラムの有効性が示された.

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