医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
Print ISSN : 1881-3658
ISSN-L : 1881-3658
報告
臨床指標としての血液培養1セット率低下に表れた初期研修医66名の医療の質向上
−当院12年5か月の血液培養オーダー状況から−
久次米 公誠中井 達郎池谷 範子田中 都大沢 幸嗣佐藤 明子濁川 博子小野 正恵
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 16 巻 3 号 p. 330-336

詳細
抄録

当院12年5か月の血液培養オーダー状況を検討した.さらに,初期研修医66名の血液培養1セット率(SBCRs:solitary blood culture rates)を医療の質の臨床指標として検討した.2007年11月に94%あったSBCRsは2016年第3四半期から10%未満を維持している.2013年度から2018年度に当院で採用された初期研修医6学年66名それぞれの1年目年間SBCRsを2年目4月に通知し,1年目年間SBCRsの中央値4.9(0-9.1)%から2年目年間SBCRsの中央値0(0-4.9)%に有意差(p<0.0001)を持って低下するのを観察した.初期研修医にSBCRsを通知することは,SBCRsを低く保つ効果があると推測される.これは,「品質特性」である初期研修医の医療の質を「代用特性」として測定可能なSBCRsに置き換えて,達成するべきレベルと現状レベルとのギャップを縮めることで,日常の診療行為を達成するべきレベルに近づけ改善したと言える.SBCRsは医療の質の臨床指標として利用できる可能性がある.

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top