2021 年 16 巻 3 号 p. 330-336
当院12年5か月の血液培養オーダー状況を検討した.さらに,初期研修医66名の血液培養1セット率(SBCRs:solitary blood culture rates)を医療の質の臨床指標として検討した.2007年11月に94%あったSBCRsは2016年第3四半期から10%未満を維持している.2013年度から2018年度に当院で採用された初期研修医6学年66名それぞれの1年目年間SBCRsを2年目4月に通知し,1年目年間SBCRsの中央値4.9(0-9.1)%から2年目年間SBCRsの中央値0(0-4.9)%に有意差(p<0.0001)を持って低下するのを観察した.初期研修医にSBCRsを通知することは,SBCRsを低く保つ効果があると推測される.これは,「品質特性」である初期研修医の医療の質を「代用特性」として測定可能なSBCRsに置き換えて,達成するべきレベルと現状レベルとのギャップを縮めることで,日常の診療行為を達成するべきレベルに近づけ改善したと言える.SBCRsは医療の質の臨床指標として利用できる可能性がある.