2021 年 16 巻 3 号 p. 337-342
薬剤師による最適な薬物療法支援が薬剤師職能として求められている.日本病院薬剤師会は薬剤師の処方介入事例を収集しているがmedication reviewの手順が施設ごとに異なるうえ,その収集は任意報告であるため介入の実態は明らかでない.そこで,広島大学病院において薬剤師のmedication reviewの標準化により,薬剤師から医師への処方提案による処方変更を処方介入として全例報告する試みを行った.ハイリスク薬などをモニタリングする標準化ツールの作成,薬剤師教育,報告業務の効率化などの取り組みを経て,2014年から2018年にかけて処方介入が2,934件から4,692件へとなった.処方介入には薬剤の不適切使用回避のみならず,治療効果向上に関する介入が約1/3含まれていた.薬剤師のmedication reviewによる処方介入は,質の高い薬物療法へ貢献することが示唆された.