抄録
Patient Flow Management(以下PFM)とは,予定入院患者に対し,入院前の外来時点で,身体・精神・社会面のリスク因子や課題に関する情報収集を行い,多職種で先行的に介入を行うことで,入院医療の安全性と質を高めるとともに,円滑な在宅ケアへの移行を促すものである.病院経営上も,在院日数の短縮や稼働率増加などによるメリットが期待されるものであるが,「令和元年度医療安全・質向上のための相互チェック」での調査によると,多岐にわたる項目の情報収集を,特定の職種や人員で担っている病院も多く見られた.そこで本セッションは,先進的にPFMを構築し,対象患者を拡大してきた3病院から,効率的かつ効果的なPFM運用のためのキーコンセプトを学び,全国で共有することを目的として企画された.
3病院のご発表から,効率的で効果的なPFM推進のためのキーコンセプトが複数示されたが,特にタスクシフティングと権限委譲により各職種の専門性を発揮させる仕組みをうまく構築することで,全ての職員にとって効率的でやりがいのあるシステムとなることが重要と考えられた.そのためには,標準化や自動化等により業務整理を行うこと,リスクを層別化し必要性に応じた介入密度とすること,介入の効果を実感できるようフィードバックの機会を設けること等が有用と考えられた.今後は,経営アウトカムだけでなく,退院後の生活の質までも含めた,PFMの効果を質的に評価することも大きな課題である.