抄録
1年間に報告されたインシデントレポート3,469件を分析した.職種別では,看護師2767件,医師357件で全体の90%を占めていた.職員一人当たりの報告件数は,看護師3.6件,医師全体では1.5件であったが,診療科別では,麻酔科8.5件,整形外科6.2件,心臓血管外科5.7件,循環器科2.7件で, 1~2件の診療科が11科,1件未満が9科,報告がなかった診療科が11科あった.医師からの報告では合併症(39.6%),医原性疾患(7.0%)など治療に直接関係する報告の比率が高かったのに対し,看護師からは,転倒(16.5%),チューブトラブル(16.3%)など患者側の要因も関与すると考えられる報告の比率が高かった.患者身体影響度別では,看護師では何らかの介入を要する中等症以上の報告が18.6%であったのに対して,医師では中等症以上の比率が52.8%であった.診療科別では,麻酔科では軽傷例の比率が高かったが,外科,心臓血管外科では重傷例の比率が高かった.