医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
Print ISSN : 1881-3658
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原著
無投薬防止対策における要因分析を活用した効果判定
笠松 奈津子樫村 暢一
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2021 年 16 巻 4 号 p. 445-453

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抄録

目的:無投薬に至る要因分析から無投薬防止対策の効果を要因別に評価し,その有効性と課題を検討したので報告する. 方法:時間を意識したダブルチェック機能を無投薬防止対策に取り入れた.対策の効果を判定するため,無投薬に至る要因を1:「指示・処方忘れ,不適切な指示」,2:「指示の認識不足」,3:「指示内容の誤認」,4:「薬剤の取り出し忘れ」,5:「与薬し忘れ」,6:「内服の確認不足」,7:「その他」の7つに分類し,要因項目とした.対策実施前後の各要因の件数を算出し,対策の効果を要因別に比較検討した.対策後も無投薬に至った各要因の背後要因を抽出し,対策を検討した. 結果:無投薬件数は,対策前の2014年度193件,対策定着後の2018年度83件であり,57%減少した.要因項目別には,要因1は不変,要因2,3,4,5はそれぞれ件数が74%,75%,46%,48%減少し,要因6は増加を認めた.特に要因2は対策の効果が最も反映され92件から24件に減少し,年度全体の無投薬に占める割合も48%から29%に減少し,有意差を認めた(P‹0.01).要因6は対策後も増加を認め,無投薬に至った背景には,患者要因と医療者要因が混在していた. 結論:無投薬に至る要因分析を活用した評価により,ダブルチェックによる無投薬防止対策の有効性と課題が明確となった.

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