医療の質・安全学会誌
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原著
初期研修医の医療用医薬品添付文書確認行動についての全国調査
栗原 健梅村 朋深見 達弥徳田 安春長尾 能雅
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2021 年 16 巻 4 号 p. 454-461

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抄録

目的:医療用医薬品添付文書(以下,添付文書)は法的根拠のある唯一の医薬品情報に位置づけられている.製品に同梱される添付文書は,改訂内容が即時に反映されないことや紙資源の浪費等の観点から,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下,薬機法)改正に伴い2021年8月から電子化が基本方針となる.一方で,臨床医における添付文書記載内容の確認状況については明らかにされてこなかった. 方法:特定非営利活動法人日本医療教育プログラム推進機構が実施するGeneral Medicine In-Training Examinationにおいて,2020年1月,全国の初期研修医を対象とした添付文書記載内容の確認に関する調査を行った. 結果:試験に参加した初期研修医合計6,869人(539病院)のうち, 本研究の参加に同意し,完全に回答した5,468人の回答を分析した.添付文書確認行動の質問に対し,「オーダした全ての医薬品の添付文書を読んでいる」と回答した研修医は1,749人(32.0%)であり,「ハイリスクな医薬品の添付文書のみ読んでいる」は3,497人(64.0%),「全く読まない」は222人(4.1%)であった. 考察:本研究は医師の添付文書記載内容の確認状況について調査したはじめての研究であった.重篤な投薬エラーの中には,添付文書の確認不足により有害事象が発生した事例もあることから,初期研修医が添付文書にアクセスしやすくなるような環境整備や,添付文書確認の意義や必要性についての教育が不可欠である.

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