医療の質・安全学会誌
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報告
ベトナムにおける医療の質・安全の技術の現地適合化の推進およびクリティカル・マス形成支援の介入効果と再現性に関する報告
村井 真介立石 恵美子五十嵐 恵森山 潤
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2021 年 16 巻 4 号 p. 488-496

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抄録

草創期のベトナムの病院が,医療の質・安全の改善をすすめるには,国内で先駆的に当該技術を導入し試行錯誤する人々が必要であった.国立国際医療研究センターは,ベトナムとの国際協力として,2015年度から2017年度にかけて,本邦研修「医療の質・安全」を4回実施し,29名のベトナム人修了生を輩出した.また,修了生を中心とした現地フォーラム「ベトナム病院の質管理・患者安全フォーラム」の開催を3回支援した.フォーラムの参加人数は回を重ねるごとに増えた(第1回:28組織58名→第3回:53組織223名).参加者全体に占める修了生の割合が24%から10%と小さくなった一方で,修了生の所属組織からの修了生以外の参加者の割合は29%から43%と大きくなった.修了生の所属組織外の参加組織数は,第2回38組織,第3回30組織と,いずれも第1回17組織よりも高い値を示した.加えて,第3回現地フォーラムでは,隣国ラオスの視察団(6組織19名)を受け入れた.修了生は,所属組織のみならず,国内外の他の病院にも影響を及ぼしたと考えられた.本プロジェクトは,医療の質・安全という新しい概念の教育と,現地の文脈に沿った実践を国際協力にて促進できることを実証した.

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