抄録
目的:術前中止薬のスクリーニングに薬剤師が関わることの有用性は多く報告されているが,具体的にどのような点で有用であるかは示されていない.本研究では,大垣市民病院の入退院支援センター(PFM)における術前の休薬指示への介入率と手術延期による経済的損失から薬剤師の有用性を検証した.
方法:PFMで薬剤師面談を行った外科の患者(907名)を対象とし,介入内容,要因別における休薬指示への介入率,手術延期による経済的損失について後方視的に調査した.
結果:術前中止薬214剤のうち48件(22.4%)の休薬指示への介入が実施され,その採択率は29/48件(60.4
%)であった.薬効別の介入率(介入件数/対象薬剤数)は,プロスタグランジンI2誘導体等のその他抗血小板作用薬が16/41件(39.0%,P=0.007),選択的エストロゲン受容体調整薬(Selective estrogen receptor modulator: SERM)が6/9件(66.7%,P=0.005)であった.その他の要因における介入率はいずれも差がなかった.薬剤師による介入がなかった場合の手術延期による経済的損失は2,226,260点と試算された.
考察:術前中止薬のスクリーニングに薬剤師が介入することにより,入院後の手術延期を防止するとともに病院の経済的損失を回避していることが示された.特に,その他抗血小板作用薬やSERMは,術前中止薬であるという認識が薄いため薬剤師の介入率が高いことが明らかとなった.