社会学評論
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「日本人」の外国好感度とその構造の実証的検討
亜細亜主義・東西冷戦・グローバリゼーション
田辺 俊介
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キーワード: 外国観, 世代, メディア
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2008 年 59 巻 2 号 p. 369-387

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抄録
本稿では「日本人」がどのように世界の国々を見ているのかを実証的に明らかにするために,20ヵ国に対する国別好感度のサーベイデータを用い,認知構造の多元的側面やその世代差を統計的に検討した.
分析の結果,まず好感度の平均値の序列としては日本を含む西欧諸国への好感度のほうがその他の国々のそれに比べて高いことが示され,先行研究でたびたび指摘される「西高東低」型の存在が確認された.さらに20~34歳,35~49歳,50~64歳,65歳以上で年齢層別に好感度の平均値を比較した.特にロシアについて49歳未満に比べると50歳以上ではその好感度が特に低いことが示され,個別の国に対する好感度には世代差が存在することが明らかになった.
さらに好感度を一元的序列ではなく多元的な構造として把握するために,個人差多次元尺度構成法を用いた分析を行った.その結果,第1次元として「(日本を含む)欧米先進諸国か否か」という「西高東低」型と重なる次元が抽出され,同時に第2次元として「(否定的)イメージのメディア報道」と解釈できる次元が抽出された.また65歳以上では第1次元を特に重視するのに対し,それ以下の世代では第2次元も好感度の決定に大きな影響を与えていることが明らかとなり,「西高東低」型で安定しているとされてきた日本人の外国好感度の変容可能性が示された.
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© 2008 日本社会学会
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