社会学評論
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情報化時代における若者ムスリムの社会統合
イスラームの‹知識›に着目して
安達 智史
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2015 年 66 巻 3 号 p. 346-363

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抄録

社会学において「知識」は, 人びとに特有のリアリティを与える社会的フレームを意味し, 宗教はその1つとして考えられている. 従来, 社会の中心的な「知識」は, 宗教的/政治的エリートにより生産され, 人びとの認識や社会関係に大きな影響を与えてきた. だが, 「情報化」のもと, 宗教的知識をめぐる環境は大きな変化の中にある. 情報化の進展は, 人びとが既存の権威から自由に宗教的知識を獲得し, また解釈することを可能にしている. 本稿の目的は, こうした環境変化の中で, 現代イギリスの若者ムスリムがどのようにイスラームの‹知識›と関わり, 社会への統合を果たしているのかを描くことにある. データは, コベントリー市における若者ムスリムへのインタビューを通じて収集され, 主題分析により検討された. 調査の中で, イスラームの‹知識›の探求を促す(親の世代と異なる)3つの環境が指摘された. 第1に, イスラームの‹知識›をめぐるインフラの充実, 第2に, 非イスラーム社会においてムスリムとして生活すること, 第3に, ムスリムをとりまく社会的プレッシャーである. このような環境の中で若者ムスリムは, より広い社会への参加のために, ‹知識›との積極的な関わりを通じて, イスラームの再解釈/再呈示をおこなっている. このことは, 若者が自身の生きる社会的文脈への適応を容易にするために, 宗教的インフラや情報のさらなる充実が求められていることを示している.

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© 2015 日本社会学会
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