社会学評論
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特集号・日本社会と国際移民――受入れ論争30年後の現実
間隙を縫う
ニューカマー第二世代の大学進学
樋口 直人稲葉 奈々子
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キーワード: 在日外国人, 移民, 教育
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2018 年 68 巻 4 号 p. 567-583

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抄録

移民の教育達成と階層分化に関する研究は, アメリカでは第二世代が成長した1990年代以降発展を遂げ, 人的資本に加えてエスニックな連帯と家族関係という社会関係資本から説明されてきた. 日本でもニューカマー第二世代は大学進学年齢に達しているが, エスニックな社会関係資本は乏しく, アメリカより不利な状況にあると想定される. 2010年国勢調査データをみると, 日本籍では45%が大学に通学しているが, フィリピン, ブラジル, ペルー籍では1, 2割前後にとどまっている. これらの国籍では親世代より学歴が低下しており, 「第二世代での低落」が日本でも生じていた. 他方, ベトナム籍では親世代より学歴が顕著に上昇する「第二世代の優位性」がみられ, アメリカと同様の集団間分岐が進んでいた. 筆者らの調査によるアルゼンチン系とペルー人系の若者79人のデータを分析すると, 義務教育を受けた期間が進学を規定するという従来の知見とは異なり, 親の学歴と生活の安定が大学進学に有意に関係していた. これは, 特別入試の利用という学校制度側の要因が進学に関わるためである. 第二世代の大学進学は, 入試のあり方によって規定されるところが大きく, 制度設計の問題として捉える必要がある. 大学教員たる社会学者も, 移民二世の大学進学の問題を当事者として考察すべきゆえんである.

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© 2018 日本社会学会
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