社会学評論
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教育を媒介する2つの地位達成
―高校ランク・学科が到達階層に与える効果の検証―
成澤 雅寛吉田 航
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2023 年 74 巻 1 号 p. 34-50

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抄録

教育達成と到達階層の関連性を検討する研究は,主に学歴と大学ランクが高いほど到達階層が高いことを明らかにしてきた.しかし,この関連性を検討するには,高校ランクや学科などの後期中等教育段階内部の差異の効果,高等教育機関への進学の効果,大学ランクや専門分野などの高等教育機関内部の差異の効果の3つを分けて分析し,解釈する必要性があるため,後期中等教育段階にこそ焦点を当てる必要がある.

そこで,本稿は,高校ランクや学科が個人の地位達成にどのように影響しているのかを,高等教育機関への進学の効果,高等教育機関内部の差異の効果があることを考慮に入れたうえで検討した.とくに,高校ランクの上下が到達階層の上下にそのまま対応するのかに着目して分析を行った.

その結果,高等教育機関への進学および高等教育機関内部の差異の効果を考慮しても,高校ランクおよび高校学科の到達階層に対する効果は依然として強く,さらにその関係性は単純な高校ランクが上がれば到達階層が上がるという関係として捉えることができず,上位の階層以外の階層に対しては高校学科の影響が強いことが明らかとなった.これは,より良いランクの学校に進学し,高い学歴を得た者が上位の階層に到達する業績主義的地位達成と各学科が想定する職業に各人が到達できるようにめざす職業志向型地位達成の2つが存在することを示唆する.

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© 2023 日本社会学会
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