社会学評論
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園児集団に向けた「一言の指示」の成立過程
―幼稚園年少級における「列になる」練習の経時的分析―
粕谷 圭佑
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2024 年 75 巻 1 号 p. 2-19

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抄録

本稿は幼稚園年少級における「列になる練習」が行われる場面の分析を通して,保育者の合図によって園児集団がある隊形をつくり上げるような「一言の指示」が成立していく過程の相互行為のワークを記述するものである.

幼稚園では園児たちが列になることが日常的に行われる.その際に特徴的なのは,保育者の「一言の指示」によって,子どもたちが一斉に特定の列になることがめざされる点である.この「一言の指示」の成立はいかになされているのか.本稿は H. Garfinkel による「教示」と「教示に導かれた活動」の議論,および相互行為履歴を経た教示に関する議論に依拠し,幼稚園入園まもない年少級の「列になる」練習場面の分析を行った.

分析から,保育者が,指示に対する園児たちの反応を資源にして,オノマトペと具体的な身体動作を連結させる指示の再調整を行っていること,また,指示に従った状態としての列が作り上げられた際に,その状態を評価したりその列の呼称を確認したりすることで,それぞれの指示の従い方に学習事項としての地位が与えられる過程が明らかになった.また,「一言の指示」の成立過程において,それ以前の教示活動の構成に用いられた資源が使用されるという相互行為履歴を用いた教示の構成が行われていることが明らかとなった.

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