社会学評論
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教師が「貧困」を捉える技法
―自己と他者への概念の適応実践に焦点を当てて―
栗原 和樹
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2024 年 75 巻 3 号 p. 205-222

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抄録

「子どもの貧困」問題は2000年代後半から問題化され,貧困層の子どもの支援が重要な課題とされてきた.その中で,教師は重要なアクターとして位置づけられ,貧困をいち早く捉え,支援することがめざされてきた.しかし,教育社会学の議論では,教師がある子どもを貧困であると同定することは,どのように成し遂げられているのか,という問いには注意が払われてこなかった.また,貧困層の排除の一因とされている教師の階層性の影響については,実証的なデータに基づかない推論に終始していた.本稿では,この点に着目して貧困の当事者として自己呈示する実践と,他者を貧困であると同定する実践を「概念分析の社会学」の立場から検討する.分析には,貧困の当事者として自己呈示をし,かつ教師として働いている小学校教師へのインタビューデータを事例として用いる.

分析の結果として,「貧困」の当事者としての自己呈示の際には,子ども時代の語りの検討から,貧困概念と世帯概念の結びつき,そして世帯の管理者ではないことが貧困の当事者の境界画定を困難にしていることを指摘した.また,教師として貧困を同定する際にも,その世帯との関連性が教師としての職務に制限をかけていることを指摘した.

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