社会学評論
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他者への信頼はネットワークの拡大をもたらすか
―組織加入前後のパネル調査データを用いた経験的検証―
内藤 準
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2025 年 76 巻 2 号 p. 122-139

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抄録

人びとが他者に抱く信頼は,彼/女らに新たな社会関係をもたらすのか.本稿ではこの問いにアプローチする.信頼とネットワークはともに社会関係資本の一部とされ,正の関連があることが知られている.多くの先行研究では,その関連を主に「良いネットワークが信頼を育む」という想定で分析してきた.その一方,「信頼は協力的な相互行為を可能にし,人びとに新たなネットワークをもたらす」という方向の因果関係も理論的に示唆されてきたが十分に確かめられておらず,残された問いとなっている.

この問いにアプローチするには,①先行する信頼と後続するネットワークサイズの変化を測定すること,②ネットワークサイズの変動を十分に観察することが必要になる.本稿ではこれらの条件を満たすため,大学新卒就職の雇用慣行に注目し,組織加入前後を含むウェブパネル調査を実施した.この調査設計は,先行する信頼と後続するネットワークサイズの変化を測定し,前者から後者への効果を明らかにするためのものである.4種類のネットワークと3種類の信頼(一般的信頼,パーソナルな信頼,内集団信頼)を用いた分析の結果,「入社前の信頼が高いほど入社後のネットワークがより拡大する」という広範な関連の存在が経験的に確かめられた.この新たな知見は先行研究の間隙を埋めて新たな理論的展開を要請するとともに,社会的孤立などの実践的課題をめぐる研究にも一定の含意をもっている.

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