社会学評論
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青年期の職業希望と労働市場アウトカム
―「職業志向的地位達成」のメカニズムを精緻化する―
打越 文弥, 山口 哲司
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2025 年 76 巻 2 号 p. 140-158

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抄録

多くの高所得国で学校から仕事への移行が不安定化するなかで,「やりたいこと」の有無やその具体性が,学卒後のキャリアに対して無視できない影響を与えていることが指摘される.しかし,職業希望が学卒後のキャリアに影響するメカニズムは十分に検討されてこなかった.そこで本研究では,職業希望を仕事を通じて専門性を発揮できる「自己実現志向」として位置づけた上で,各学校機関の教育と職業の結びつきに着目し,学校から職業への移行過程における制度的文脈の役割を踏まえることで,職業希望と学卒後のキャリアの関係を再検討する.

青年期の職業希望を回顧的に尋ねた社会調査データを用いて,職業希望と現在の所得の関連を検討したところ,18歳当時職業希望がなかった人は,強く職業を希望していた人に比べて,男性では現在の所得が15%ほど低くなることがわかった.しかし,女性ではこの関係はみられない.さらに,職業希望と所得の負の関連は男性の非大卒層,とくに短大・高専・専門卒の資格分野層と高卒職業科層にみられた.

高卒職業科層を中心に各専攻・学科の教育内容と結びついたかたちでの職業選択がおこなわれる点を指摘する「職業志向的地位達成」の研究では,生徒は学校で得た知識や技能を活かした仕事に就きたいと考えることを暗黙のうちに仮定していた.本稿の知見は,職業希望がこうした地位達成の要件となっているという想定を検証した点で,重要な理論的示唆をもつ.

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