社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
生活構造からみた主婦役割モデル
都市家族における一つの検証
神原 文子
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 31 巻 1 号 p. 31-59

詳細
抄録

本稿では主婦の生活構造と役割行動との関連を明らかにするために、従来の「生活構造論」、「役割論」、「家族の機能分析」、「主婦論」、「行為論」という各領域での研究をふまえ、それらの諸領域を相互に関連づけながら理論的仮説を展開し、さらに的をしぼって実査と分析を行なうものである。
もちろん、本稿で問題とするのは、主婦の社会学的分析のうちほんの一論にすぎないが、そのねらいとするところは、これまで曖昧なままに用いられていた、「主婦」、「生活構造」、「機能要件」などの諸概念を具体的事例に即して再検討し、今後の検証作業に向かってひとつの試論を提供することである。
そこで分析の焦点を次のようにしぼることにした。 (1) 、主婦の役割分析、 (2) 、「生活構造」に関する分析、 (3) 、主婦の生活構造と役割行動との関連分析、 (4) 、 (3) にもとづいて、今日の都市夫婦家族の機能要件を仮説的に考察すること、である。
結果的には、今日の都市夫婦家族における要件性の高い機能項目として、不可欠性かつ代替不能性の高い次の役割を選び出すことができた。すなわち、「職業活動」、「料理」、「家計管理」、「健康管理」、「夫婦間の愛情」、「子どもの養育としつけ」がそれである

著者関連情報
© 日本社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top