社会学評論
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組織構造の中範囲理論
沢田 善太郎
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1980 年 31 巻 2 号 p. 16-35

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抄録

本稿は公式組織の比較研究によってえられた経験的一般化命題をもとに中範囲理論を作る一つの試みてある。公式組織の比較研究ては組織構造の分化を規定する要因として規模を重視する理論と環境・技術の特性を重視する理論とのあいだに論争かある。本稿ては前者の代表としてブラウ、シェーンハーの共著をとりあけ、後者の代表としてサイモン、マーチの共著をとりあけて検討した後、両者の基本的なアイテアを包摂する説明図式の作成を試みる (そのために採用する組織モテルは指令-報告関係の一元性を前提した単純なモテルてある) 。従来の理論と異なり、本稿ては組織の分化の下限を規定する変数と上限を規定する変数を区別する。組織の分化の下限は規模と環境の標準化の程度を独立変数とし、媒介変数として管理容量という仮説概念を導入することによって説明する。分化の上限は環境の標準化の程度、単位問異質性の程度および単位の自足性の程度を独立変数とし、単位間の相互依存の許容度を媒介変数として説明する。この説明図式から規模と環境の標準化か組織の分化におよぼす機能について次のような命題か導ける。 (1) 規模を一定とすると、環境の標準化か進むほと組織の分化の自由度は増大する (経験的規則性の発見は困難になる) 。 (2) 環境の標準化の程度を一定とすると、規模が増大する (経験的規則性の発見は容易になる) 。

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