社会学評論
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パーソンズ理論とエスノメソドロジー
-主観性問題に関する方法分析をめぐって-
北澤 裕
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1984 年 35 巻 1 号 p. 58-76,124

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抄録

エスノメソドロジーは社会的行為を如何に捉えているのか、本稿ではこの課題を従来の社会学、特にパーソンズ理論との比較により明確にすることを目的としている。その際、比較の基準を行為者の主観性、もしくは主観的意味の問題に求める。この問題は、社会学が社会的行為を分析するに当り必要とされるばかりでなく、パーソンズ理論とエスノメソドロジーとの差が本質的にはこの問題をめぐって生じており、その相違を明確にすることで、エスノメソドロジーの理解とその存在価値を問うことができるからである。この観点から、まずパーソンズ理論での主観性概念を検討し直し、この概念と行為の状況との関係をエスノメソドロジーの視点と対照する。次に、エスノメソドロジーの主観性の取り扱い方の妥当性を指摘して、最後に、エスノメソドロジーを具体的に紹介する意味も含め、エスノメソドロジーの方法論に従った行為分析の有効性を、事例を提示しながら論じてみる。

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