社会学評論
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地位達成分析の成果と課題
鹿又 伸夫
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1984 年 35 巻 2 号 p. 145-161

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抄録
パス解析を用いる地位達成分析は、ブラウとダンカン以後、革新的実証研究法として成層・移動研究において主導的役割を果たしてきた。地位達成分析は、理論的基礎・分析枠組・測定解析法の体系だった「威信-地位達成パラダイム」を持っている。しかし、この体系づけられたパラダイムは、理論的に欠点を持つために、構造主義と言われる一連の諸研究から批判を受けるようになった。
本稿は、地位達成分析の研究成果と方法的制約を指摘し、威信-地位達成パラダイムが独特の社会的関心 (平等主義イデオロギーと社会政策的関心) 、新古典派的な社会構造概念 (機能主義成層理論) に由来していることを明らかにする。そして最後に、構造主義が主張する成層構造の重層性・多元性という視座から、日本における成層・移動研究の検討課題を提示する。
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© 日本社会学会
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