社会学評論
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社会学と間主観性問題
“主観主義” 批判・再考
吉沢 夏子
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1984 年 35 巻 2 号 p. 130-144

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抄録

A・シユッツの学、および現象学的社会学やエスノメソドロジーについてはすでにさまざまな解釈や批判がなされている。その中でも、これらの学的営為をいわゆる “主観主義” ということばで括ることはかなり広い支持を得ているように思われる。
しかし、いったい “主観主義” とは何か。それは従来の “主-客図式” の枠を前提にしたものなのか。またそれは “問主観的” な世界を明らかにすることはできないのか。これが本稿での問題である。
その考察にあたってここでは、まずシュッツをフッサールとの関係で位置づけるという作業を通してシユッツに対する批判および評価を再構成し、次にそのことによって逆に社会学との関係でシュッツの積極的な存在意義を浮き彫りにする、という手法をとる。
シュッツの貢献は、社会学においてこれまで省みられることのなかった新しい問題領域-間主観性問題-を発見し、それを社会学的な問題として主題化する道を開いたことである。そしてシユッツの学、およびシユッツを出発点とするその後の展開の中で、 “主観主義” の “主観” は従来の “主-客図式” の枠ではもはや捉えられない薪しい意味を獲得するのである。

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