社会学評論
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高度情報社会と産業社会の変貌
今田 高俊
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1984 年 35 巻 3 号 p. 284-295,385

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抄録

一九七〇年代なかば以来、先進産業社会は豊かさと成長の限界とが併存する社会進化の天井のなかで、慢性の病理がもたらす陰鬱で展望の開けない状況に閉じ込められ、沈滞と閉塞のムードが蔓延し始めつつあった。こうしたなかで、一九八〇年代にはいって、マイクロエレクトロニクスに代表される新技術革命と高度情報社会の構想が急速にクローズアップされ、一つの社会運動にまで高揚してきた。そしてこの運動は産業社会が迷い込んだ閉塞状況を突破して、新たな産業社会の位相へとわれわれを導くに違いないとする希望的観測のもとに、技術革新主導型の社会パラダイムづくりが大きな社会的関心事となり、現在、産業社会が抱えている慢性の病理の問題が背景に退けられてしまいかねない様相を呈している。この小論では、こうした立場を避け、豊かな社会、成長の限界、新技術革命の三者の関連が、転換期にある産業社会の秩序再編問題にどのように位置づけうるかにかんする考察を試みてみた。新技術は高い社会的選択価値をもち、これまでの産業化を支えてきた工業化・民主化・大衆化の構図を転換させること。ミクロな社会的行為の水準ではクオリティ・ライフの実現として進められてきた静かな生活革命を促進すること。マクロな社会システムの水準では付加価値原理の構築と安定成長の確保を促進させること。これらが主たる論点である。

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