社会学評論
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都市の同郷団体
松本 通晴
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1985 年 36 巻 1 号 p. 35-47,144

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抄録

ある社会事象をまず記述しよう。その記述された社会事象の存在形態の原因をつぎにさぐることにしたい。しかし社会事象の斉一性もその内部において差異的な現れ方をする。この差異的な社会事象を解明するところに解釈が生まれる。
本論文では、都市の中の離村者たちが結節してつくりだす同郷団体を素材として、右の記述、説明、解釈を適用してみようと思う。
すでに戦前には農村人口の自然増加部分がほぼコンスタントに流出し、戦時ならびに戦後にはさらに大量の次三男、女子、そして長男、世帯主も都市に流出してきた。彼らは多く都市の中で同郷団体を結成する。
通常、離村者えちは近代における資本の蓄積過程からほぼ必然的に都市に移住してきた。そして今日では、山村と離島出身者の間に個々に分散する離村者というにとどまらない、いわば同郷団体の形成が特徴的に見られている。この場合には、離村者の中の指導者の存在が大きく作用している。ここに筆者の論点がある。

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